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肺炎球菌ワクチンについて ~肺炎を防ぐために今できること~

[2026.06.03]

高齢になると「肺炎」が大きな健康上のリスクになります。実際に日本人の死因の上位には肺炎が含まれており、特に65歳以上では重症化しやすい感染症として知られています。その原因菌の中でも代表的なのが「肺炎球菌」です。

肺炎球菌は正式には「肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)」と呼ばれる細菌で、健康な人の鼻やのどにも存在することがあります。しかし、加齢や持病、免疫力の低下などをきっかけに増殖すると、肺炎だけでなく、菌血症や髄膜炎など重篤な感染症を引き起こすことがあります。特に血液や脳脊髄液に侵入した状態は「侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)」と呼ばれ、高齢者では命に関わることもあります。

感染は主に咳やくしゃみなどによる飛沫感染で起こります。家族や施設内など、人との接触が多い環境では感染の機会が増えます。ただし、肺炎球菌は身近な細菌でもあるため、「うつされた」というよりも、自分の鼻やのどにいた菌が体力低下をきっかけに悪さをするケースも少なくありません。

肺炎球菌による肺炎では、発熱、咳、痰、息切れ、胸痛などがみられます。高齢者では典型的な症状が出ないこともあり、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「ぼんやりしている」といった変化だけで発症していることもあります。また、菌が血液中に侵入すると敗血症を起こし、急速に重症化する場合があります。

治療には抗菌薬を使用しますが、肺炎そのものによる体力消耗や合併症のリスクを完全になくすことはできません。そのため現在の感染症対策では、「かかってから治す」よりも「かかる前に予防する」ことが重視されています。

予防の中心となるのが肺炎球菌ワクチンです。2026年度からは20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20:プレベナー20)が高齢者の定期接種ワクチンとして採用されました。65歳の方、および一定の基礎疾患を有する60~64歳の方は公費による定期接種の対象となっています。

一方で、当院では成人向け21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21:キャップバックス)を推奨しています。キャップバックスは成人の肺炎球菌感染症に多い血清型を意識して開発された新しいワクチンで、日本のサーベイランスデータでは成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因血清型を高い割合でカバーすると報告されています。

肺炎球菌ワクチンは高齢者向けというイメージがありますが、接種できるのは高齢者だけではありません。糖尿病、慢性肺疾患、心疾患、腎疾患などの持病がある方や、喫煙歴のある方、免疫機能が低下している方では若い世代でも肺炎球菌感染症のリスクが高くなります。また、健康な成人であっても任意接種として接種することが可能です。

肺炎は「年齢のせいだから仕方ない病気」ではなく、予防できる感染症の一つです。ご自身やご家族の健康を守るためにも、肺炎球菌ワクチンについて一度検討してみてはいかがでしょうか。接種歴が分からない方や、どのワクチンを選ぶべきか迷われている方は、お気軽に当院までご相談ください。

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